お墓に関する法律(墓埋法)について
目次
お墓に関する法律として、昭和23年に制定された「墓地、埋葬等に関する法律」(略称:墓埋法ぼまいほう)があります。墓埋法は第28条から成り立っていますが、ここでは注意すべき条文を抜粋してわかりやすく解説します。
第2条~用語の確認
- 第2条 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死体を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
- 2 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
- 3 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
- 4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
- 5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長または区長。以下同じ。)の許可をうけた区域をいう。
- 6 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。
- 7 この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。
ここでのポイント
土葬の場合は、死体を埋めて終了。その埋める行為を「埋葬」といいます。
火葬の場合は、2つのステップがあります。
1つ目は死体を焼くことです。これを「火葬」といいます。
2つ目はお骨の処理です。墓に埋める場合は「焼骨を埋蔵」といい、納骨堂に入れる場合は「焼骨を収蔵」といいます。
第3条~24時間ルール
- 第3条 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りではない。
ここでのポイント
火葬は死後24時間を経過してからでないと行うことができません。
これは、死体が万一蘇生することがあってはならないための規定です。
第4条~場所の規定
- 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。
2 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行ってはならない。
ここでのポイント
骨を埋めるのは墓地のみ。(納骨堂への収蔵は埋めるわけではないので違法性ナシ)
死体を焼くのは火葬場のみ。
第5条・第8条~市町村長の許可
- 第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
- 第8条 市町村長が、第5条の規定により、埋葬、火葬又は改葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。
ここでのポイント
火葬の時は「火葬許可証」、埋葬の時は「埋葬許可証」、改葬の時は「改葬許可証」が必要です。
これらの許可や証書の交付を行うのは市町村長です。
第10条~墓地経営
- 第10条1項 墓地、納骨堂又は火葬場を建設しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
ここでのポイント
墓地経営には知事の許可が必要です。
第14条・第16条~火葬許可証
- 第14条 墓地の管理者は、第八条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。
2 納骨堂の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。
3 火葬場の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行つてはならない。 - 第16条
2 火葬場の管理者が火葬を行ったときは、火葬許可証に、省令の定める事項を記入し、火葬を求めた者に返さなければならない。
ここでのポイント
火葬が終わったら、遺族のもとに火葬許可証が返ってきます。
墓地や納骨堂へ納骨するときには、火葬許可証又は改葬許可証が必要です。
~筆者のひとりごと~
自己紹介:40代男性。妻と長女の3人暮らし。涙もろくロマンチスト。
今回は、お墓に関する法律、墓埋法をテーマに取り上げました。
この墓埋法は昭和23年に制定されて以来、特に大きな変更もなく今日まで適用されている法律です。
言葉の使い分けとして注意する点は2つ。
土葬のことを「埋葬」、火葬後お墓に納骨することを「埋蔵」、納骨堂に納めることを「収蔵」と区別されています。
また、お墓や納骨堂に納骨する際に必要となる書類は「火葬許可証」です。火葬による葬送がほとんどで土葬することがなくなった現代では「埋葬許可証」という概念はなくなったといえるでしょう。
最後まで記事を読んでいただき誠にありがとうございました。