墓じまいした後のお骨の行き先④納骨堂
目次
納骨堂という言葉をご存知でしょうか?
納骨堂とは「室内用のコンパクトなお墓」というとイメージしやすいと思います。
従来のお墓は「一戸建てのお墓」、納骨堂は「マンション型のお墓」ととらえることができるかもしれません。
遠方にお墓があるためお墓参りが大変だ、という方が墓じまい(改葬)して交通アクセスの良い納骨堂へ引越しされるケースも年々増えています。
ここでは、納骨堂のタイプやメリット・デメリットなどについて詳しくみていきたいと思います。
納骨堂が増えている理由
近年、納骨堂の数が増えてきている背景には、少子高齢化や核家族化、都市への人口集中などの社会問題の変化によって人々の供養に対する考え方が少しずつ変化してきたことがあります。
家単位のお墓の維持が難しくなっているご家庭が増え、個人や少人数単位でのお墓がどんどん増えてきており、「お墓の在り方」は今まさに過渡期であると言えます。
従来のお墓に比べて、手間がかからず安価な納骨堂が人気になってきていると考えられます。
納骨堂の種類と価格相場について
ひとことで納骨堂といっても、ロッカー式、自動搬送式などの種類があります。
ロッカー式の納骨堂
遺骨をコインロッカーのような扉のついた収蔵棚に保管します。
小さいですが、個別のスペースで供養をすることができます。
手前に花やお供物などを供える簡易のスペースを設けているものが多いです。
ロッカー式の納骨堂は、1体~数体分の骨壺が収められるくらいの大きさが主流です。
ロッカー式の納骨堂の価格相場としては20~80万円程度です。
仏壇式の納骨堂
仏壇式の納骨堂は、上壇に仏壇、下壇にご遺骨の収蔵スペースがあるタイプです。
仏壇スペースの利用に制約がなく、遺影を飾ったり故人が好きだったお花を飾ったりと、自由に使えるのが魅力です。
下段の収蔵スペースも広々としており代々のお墓としても利用できます。
仏壇の大きさや装飾によって異なりますが、総じて他の納骨堂のタイプに比べて価格帯は高めです。
一般的には100~200万円くらいが価格相場といえるでしょう。
自動搬送式の納骨堂
近年、この自動搬送型の納骨堂が増えてきています。
土地不足の都心部においてお墓不足解消の目的で作られました。
自動搬送式納骨堂は、ビル全体が納骨堂になっていて、普段はバックヤードに保管されている骨壺を、お墓参りの度にコンピューター制御によって参拝スペースへと運ばれるシステムです。
ICカードをかざすことで、該当するご家族の遺骨が自動で参拝スペースの墓碑まで運搬されてセットされます
近年急増している先進的なお墓で、コンピューターによる制御システムと、スタイリッシュな内装や外観、充実した設備が特徴的です。
1人用や2人用だと80万円前後、複数人で利用できるご家族用だと100~200万円くらいが相場といえるでしょう。
位牌式の納骨堂
ひな壇状になっている棚に、ご遺骨や位牌を並べるかたちのシンプルな形の納骨堂です。
お参りは共用の礼拝スペースやご本尊に向かって行います。
ロッカー式や仏壇式と比べて個別の占有スペースがとても少ないため、相場としては10~20万円程度と比較的価格を抑えることができます。
納骨堂のメリット
納骨堂にはさまざまなメリットがあります。
納骨堂が注目されている理由をまとめました。
交通アクセスが良い
都心部にある納骨堂の場合、郊外の墓地・霊園と違い、電車やバスなどの公共交通機関を使って簡単にお墓参りに行くことができます。
将来的にどうしても高齢になるにつれて車の運転が難しくなってきます。
駅近の納骨堂であれば、家族や介護ヘルパーの方に頼らず、自分一人でもお墓参りしやすい環境です。
最新型の納骨堂は、駅の近くにも数多くあり自動車を持たない方にもおすすめです。
納骨堂の施設はバリアフリーで設計されていることが多いため、車いすやベビーカーを使用される方も安心してお参りすることができます。
費用を安く抑えることができる
従来のお墓に比べて、墓石代がかからない為経済的な負担を軽減することができます。
納骨堂の場合に発生する費用としては永代使用料と年間管理費のみというのがほとんどです。
天気を気にせずにお参りができる
納骨堂は屋内にあるため、雨や雪といった悪天候の場合でも、足元を気にせずにお参りができる点がメリットです。
また、お墓の手入れや草むしりなどの清掃が不要のため気軽にお墓参りすることが可能です。
宗旨・宗派が不問
宗旨・宗派が問われることは、ほとんどありません。
また、寺院の檀家となることもほぼないので時代に合った選択肢として注目されています。
無縁墓になる心配がない
ほとんどの納骨堂が永代供養型となっています。
お墓の継承者がいないという不安を解消することができます。
自分の代だけでなく将来にわたって無縁墓になる心配がないことは、納骨堂を選ぶことで得られる大きな安心感につながります。
骨壷のまま納骨することができる
納骨堂の場合、合祀墓と違い個人のスペースに骨壷のまま収蔵します。
したがって、将来遺骨を移動すること(お墓の引越)が可能です。
納骨堂のデメリット
従来のお墓のようにお墓参りができない
納骨堂は室内であるがゆえ、火気厳禁のため線香を焚くことができない、水をかけることができない等、納骨堂のルールに沿ってお墓参りする制約がでてきます。
また、参拝ブースが共有スペースとなっている場合には順番待ちをすることもあります。
建物が老朽化したときの不安
納骨堂が数十年後に老朽化し、建て替えや改葬する必要がでてきます。
建て替えや改装の費用を利用者に請求されることもあり、費用請求を巡ってトラブルが発生する可能性もあります。
納骨堂を選ぶ際には、契約書で建て替えや改装費のこともよく確認して選ぶ必要があるでしょう。
最終的に合葬となる場合もある
納骨堂によっては、契約期間の定めがあるところもあります。
契約期間終了後に遺骨は合祀墓へ移されて合葬されることになります。
また、契約期間の定めがないところでも年間管理費の滞納により合祀されてしまう可能性があるので注意が必要です。
~筆者のひとりごと~
自己紹介:40代男性。妻と長女の3人暮らし。涙もろくロマンチスト。
今回の記事では、納骨堂の費用の目安やメリット・デメリットについて紹介しました。
納骨堂は現代社会に適した新しいお墓の形といえるでしょう。
弊社は川崎駅前に2つの納骨堂を管理しております。
墓じまいをした後に納骨堂へお骨を移す方も多くいらっしゃいます。
納骨堂のメリット・デメリットをしっかり知った上でご自身に合った供養方法を選びましょう。
最後まで記事を読んでいただき誠にありがとうございました。