粉骨のメリットとデメリット
目次
ご遺骨を粉末状(パウダー状)にすることを「粉骨」といいます。
テレビや雑誌などのメディアに取り上げられることも増え、粉骨の認知度も徐々に高まってきています。
しかし、大切なご家族やご先祖さまのご遺骨を粉骨するのに躊躇される方がいらっしゃるのも事実です。
粉骨のメリット
粉骨することのメリットとして、以下の4点があげられます。
- 遺骨の量(かさ)が小さくなる
- 見た目がきれいになる
- 散骨や樹木葬など供養の選択肢が広がる
- 経済的負担が軽減される
遺骨の量(かさ)が小さくなる
粉骨することで、遺骨のかさがおよそ4分の1程度に小さくなります。
お墓の納骨室(カロート)のスペースにも限りがあります。
例えば、複数のご先祖さまのご遺骨を粉骨して一つの骨壺に納めたり、おじいさんとおばあさんを一緒の骨壺に納めたりすること等も可能になり、納骨室のスペースを確保することができます。
お墓に納骨せずにご自宅で供養を希望される方も増えています。
自宅供養においても、火葬後の骨壺はかなりの大きさがあります。
粉骨することで小さい骨壺で供養することにより精神的負担を和らげる効果があるのではないでしょうか。
見た目がきれいになる
焼骨の見た目については人それぞれの感覚となるので一概には言えませんが、頭蓋骨や足の骨などの形あるものに対してはショックを受ける方も少なくありません。
また、小さなお子さまは怖がってしまうこともあるでしょう。
粉骨することできれいな白いパウダー状になりますので、いわゆる生々しさは軽減されると思います。
また、衛生的にも良くなるので手元供養にも適しています。
故人を身近に感じていたい、との想いから粉末状のご遺骨の一部をペンダントなどに納めて常に身に着ける方もいらっしゃいます。
散骨や樹木葬など供養の選択肢が広がる
先に述べたように、自宅供養(手元供養)においてメリットがある他、散骨や樹木葬などの新しい供養方法にも粉骨は適しています。
従来、火葬されたご遺骨はお墓に納骨すべき、とされていましたが、最近ではお墓への納骨以外の葬送方法の人気が高まっています。
海に撒く「海洋散骨」や樹木を墓誌代わりとする「樹木葬」などは自然に還りたいという希望に沿った葬送といえるでしょう。
散骨する際には、粉骨が必須となります
遺骨を海や山などに撒く供養方法を散骨といいます。
この散骨を行うにあたっては、遺骨をパウダー状(粉末状)にする必要があります。
粉骨せずに人骨とわかる形状のまま遺骨を撒く行為は、遺棄罪(刑法190条)に抵触します。
山での散策中や海での遊泳中に人骨を発見したら、ドキッとすることでしょう。
警察に通報され事件性が疑われることになり、故人さまもうかばれません。
したがって、人骨とわからないように一片2㎜以下の粉末状にする必要があるのです。
樹木葬においても粉骨がおすすめです
墓石ではなく、樹木を墓標代わりにする供養方法を樹木葬といいます。
自然葬のひとつとされ、亡くなった後は自然に還りたいという想いがある方に人気があります。
樹木葬の場合には、必ず粉骨しなければならないということはありません。
しかし粉末状にすることで、より自然に還りやすくなる点や公営墓地において抽選倍率が良くなる点などのメリットがあります。
経済的負担の軽減
一般的にお墓の建立には、数百万円の費用が発生します。
お墓の建立や維持費などの経済的負担が現代においては大きな問題となっています。
また、都市部の人気の高い公営霊園では当選待ち、順番待ちなどでお墓を入手するのが困難となっています。
このような社会問題の背景もあり、お墓を持たずに粉骨して自宅供養や散骨などを選ばれる方が増えています。
粉骨のデメリット
次に、粉骨することのデメリットについて紹介します。
元に戻せない
一旦、粉骨してしまうと元の形状に戻すことはできません。
また、「骨」という形がなくなってしまうため、寂しく感じることもあるかもしれません。
したがって、粉骨する前に家族や親族でよく相談することをおすすめします。
快く思わない人もいる
「お墓に納骨しないと成仏できない」と考える方もいらっしゃいます。
家族・親族など周囲の方から、自宅供養や散骨に関して反対されることもあるかもしれません。
しかし、あくまでも俗信・迷信であり、成仏と供養との間に因果関係はありません。
また、粉骨はかわいそうだと感じる方もいらっしゃいます。
例えば、火葬の際に、火で焼かれて熱くてかわいそうだと思うことはないかと思います。
人は亡くなると、熱さや痛みを感じることはありません。
故人さまへの想いはそれぞれですので、粉骨に対して抵抗感があるようでしたら、後悔しないためにも精神的に落ち着いた後にご検討いただけたらと思います。
まとめ
今回は、粉骨に関するメリットとデメリットについて紹介しました。
粉骨のメリットとしては、遺骨の量が少なくなりきれいな状態で供養することができる点、手元供養や散骨などの新しい供養方法にも対応することができ経済的負担を軽減することができる点などが挙げられます。
またデメリットとして、粉骨すると元の形に戻すことができなくなる点のほか、成仏できない・かわいそうだと感じる方がいる点が挙げられます。
メリットとデメリットを比較するとメリットのほうが大きいのではないでしょうか。
粉骨に関しては、肯定的・否定的な考え方それぞれあります。
粉骨を行う前に、家族や親族の方々とよく相談することが大切です。