墓じまいした後のお骨の行き先⑤手元供養
目次
手元供養は、新しい供養の形として近年注目されています。
手元供養という名前の通り、遺骨や遺灰をお墓に納めずに家に置いておく供養方法で自宅供養ともよばれます。
手元供養が選ばれる理由
- 亡くなった人をいつでも身近に感じていたい
- お墓の管理や購入のための費用を節約したい
- お墓を建てるための土地が確保できない
- 継承者がいないのでお墓を建てたくない
- 子どもに負担をかけたくない
- 宗教によらない供養をしたい
家族を亡くした精神的負担を和らげるために、遺骨を自分のそばに置いておきたいと思う人もいるでしょう。
現代社会においては、お墓参りやお墓の管理の負担は大きくなっています。
地域によっては墓地の空きがないことも珍しくありません。
せっかく建てたお墓も少子化やお墓離れなどの影響で受け継いでくれる人がいなくなる可能性というのもあります。
そのため、お墓を持たない方がいいのではないかと考える人が増えています。
また、宗教とは無関係に供養をしたいという人にも、手元供養は適しています。
自宅で保管する以上、どのような形で弔うかは自由で、形式やしきたりなどに縛られることはありません。
このような事情により、手元供養を希望する動きは高まっています。
手元供養が広がった社会背景
核家族化・少子化
現在、核家族化や少子化が急速に進行しています。
全世帯の8割以上のが核家族世帯となっています。
祖父母や孫たちと一緒に生活している、いわゆる三世代同居の世帯は約10%しかありません。
その結果、お墓に対する意識も変化し、長男がお墓を管理していくという従来の「家意識」が薄まり、「夫婦意識」が強まってきています。
愛する故人のお骨を手放せない
子どもの早世(逆縁)や大切な連れ合いを亡くし寂しくてお墓に納めることに躊躇している方にとってのグリーフケアとしての働きがあります。
高齢化(お金をかけたくない、かけられない)
寿命が延びた分、リタイヤ後の生活費や医療費、旅行などの趣味活動費が増えました。
老後の人生を楽しむ費用や子や孫に残そうと考える人が増えています。
供養の多様化
散骨や樹木葬、永代供養墓など新しい供養方法が次々と出てきました。
お骨はお墓に納めなければならないもの、という概念が変わりつつあります。
手元供養と法律
お墓や埋葬に関することは「墓地・埋葬等に関する法律」によって規定されています。
自宅の庭にお墓をつくって埋めることは違法となります。
遺骨を自宅に置いて供養することは法律上問題はありません。
また、役所での手続きなども不要です。
手元供養には全骨と分骨の2種類あります
手元供養をお考えの方には粉骨をおすすめします。
粉骨とは、遺骨をパウダー状にすることを指します。
全骨安置の手元供養
ご遺骨すべてを自宅で保管する方法です。
ご遺骨は骨壷に入れて保管することになります。
全骨安置の場合、骨壷が大きいことを気にされる方もいらっしゃいます。
粉骨することにより体積が小さくなり、骨壷をおしゃれで小さなものにすることができます。
また、遺骨は湿気に弱くカビやすい面があるので、保管する場所には注意が必要です。
分骨安置の手元供養
分骨して手元供養を考える方が増えています。
粉骨することで分骨が容易になります。
少量の遺骨を手元供養用として分けます。
分けた遺骨は少量ですので、小さな骨壷やペンダントなどの手元供養品に収納することが可能になります。
残った遺骨はお墓・納骨堂・永代供養墓・樹木葬として納骨したり、散骨します。
特に散骨の場合、全部撒いてしまうと手元に何も残らなくなり、一抹の寂しさを感じる方も少なくありません。
そこで、散骨をする際に、全ての遺骨を撒くのではなく、一部の遺骨を手元供養で保管したい、と考えられる方が多いのです。
散骨と同時に手元供養される方は多いです。
手元供養のメリットとデメリット
手元供養のメリット
1.費用を抑えることができる
お墓を購入する費用は数百万円かかります。
さらに管理費などもかかってきます。
手元供養を選択することでこれらの費用を抑えることが可能になります。
2.いつでも身近に故人を感じることができる
故人を身近に感じることができ、心の拠り所として、手元供養を選択する方が増えています。
手元供養のデメリット
1.皆が快く思っているとは限らない
遺骨が家の中にあることに、不快感を持つ人もたくさんいます。
また、お墓に納骨してこそ成仏できると信じている人も少なくありません。
自分の気持ちを押し付け過ぎずに、周囲の人達の気持ちも思いやりながらよく相談することを忘れずにしたいものですね。
2.紛失の可能性
火事や地震、洪水などの災害により遺骨がなくなってしまうリスクがあります。
また、ペンダントなどのアクセサリーに納めた場合も紛失してしまうことがあるので注意が必要です。
3.手元供養品が残る
手元供養をしていても、家で供養してくれる人がいなくなれば、いずれは遺骨をどこかに収める必要があります。
将来的に遺骨をどうするかを決めておく必要があります。
~筆者のひとりごと~
自己紹介:40代男性。妻と長女の3人暮らし。涙もろくロマンチスト。
今回の記事では、手元供養のメリット・デメリットについて紹介しました。
経済的にお墓を建てない、気持ちの整理がつくまでそばにいたい、等の理由で手元供養を選ぶ方が増えてきています。
手元供養に関しては手続きが不要で自由度の高い供養方法といえます。
例えば、兄弟間で分骨してそれぞれの自宅で供養したり、お墓への納骨や散骨前に分骨して自宅に保管することで心の拠り所を残したり…などご自身の気持ちに合致した供養方法が見つかると良いと思います。
故人との別れの寂しさを和らげる手元供養は、お墓離れが進む現代においてお墓を持たない人にも選びやすい新しい供養方法として注目を集めています。
最後まで記事を読んでいただき誠にありがとうございました。